スケッチの方法
野草を題材にスケッチの練習をしてみます。
ハイキングの課題などでスケッチをしようと言われると思いますが、これは芸術作品を作ろうとしているわけでなく、良く見て欲しい、観察をして欲しいというのが目的です。実物を目の前にしてるのですから、名前を聞いて「なるほどなあ」で終わり、何となくシャッターを押して終わりではなくて、徹底的に見尽くして欲しいのでスケッチという手段をとります。
美術ならばスケッチの手法というのは自由であるべきなんですが、ここでは観察することに重点を置いていますので見るための手法を特に取り上げます。
題材は身近にある雑草。ホントは「名もなき雑草」なんてものはなくて、私たちが無知で名前を知らないだけなんですけど。
これを実物大で描いてみましょう。普段は単なる雑草だと思っている野草をよく見て、手に触れながらスケッチしましょう。
実物大ですから、紙面にどのようにおさめようか考える必要はありません。描きたいところから描き初めます。結果として全体が入りきらずにはみ出してもかまいませんし、逆に紙面の一部だけを使って余白がたくさん出来てもかまいません。
どんな形なのか調べるためにドンドン触りましょう。裏返したり、伸ばしてみたり、草をいじめない範囲でいじりまくりましょう。
なかなかうまくスケッチが出来ないのは十分に実物を見ないで勝手に「こんなもんだろう」と決めつけて描いてしまうことにあります。
葉っぱを描くとしましょう。葉っぱは丸い形をしてるからとだ円形をたくさん描いて終わりにしていませんか。野草ではないですがサクラの葉をよ〜く見て見ましょう。元のほうからゆるやかにふくらんで、もっともふくらんだ部分をすぎると内側に食い込むようにカーブの向きを変えながら先端にたどり着きます。さらによく見ると、ねじれていたり、破れていたり、虫食いのあながあったり、と一枚一枚表情が違うはずです。決めつけてしまわずに見たままに描いてみましょう。
ゆっくり線を描きましょう。1センチ進んでは実物と見比べて、5ミリ進んではもう一度確認する。紙の上をどちらに行こうか考えながらカタツムリがゆっくり歩いているイメージでペンを進めていきましょう。ゆっくりと太くてハッキリとした線を描きましょう。自信のないとぎれとぎれの線を重ねるのではなく、しっかりとつながった線です。少しくらいゆがんでもクニャクニャ曲がっても全然かまいません。味のある線になって絵におもしろい効果がでてきます。
横に線を一本ひくのでもよく見て考えてみましょう。この線は水平よりも右上がりなのか、右下がりなのか。上向きにそりかえっているのか、下向きにうなだれているのか。線の性格を見つけてください。
紙の上に何本か線があらわれてきたら、それぞれの線と線の関係をよく調べてみましょう。今描こうとしている線はあの線とどこでどんな角度で交わるのか。この点とあの点を結ぶのだから、どんな風に進めばよいのか。よくよく見てみましょう。
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